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日本人とは何か

第118回 日本人とは何か

一般社団法人生態系総合研究所
代表理事 小松正之
2023年11月21日

経済成長至上主義からの脱却

私たちは地球という狭い惑星に住んでいる。日本という常に変動する地殻(プレート・テクトニクス)の上に暮らしている。地上に創られたものは、地球の中で調達されたもので、人間が自らの都合と利便のために奪って作り出した。

地球形成と進化の歴史の46億年の中で、地殻、大気圏、海ができて、生物が発生し、衰退と滅亡を繰り返した。人類はわずか200万年の短い歴史しかない。人類と食料も地球と同じ構成素材からなっている。
日本人と西洋人あるいはアフリカ人は、気温や太陽光の強度などにより環境で違って見えるが基本は同じである。

環境、自然と地球が変化すれば、日本人と人類も適合するか、消滅する。地球も最初は気温が高く、長い間をかけて二酸化炭素を植物が吸収し酸素を大気に放出し、二酸化炭素を植物質と石油・石炭として蓄積し、気温が低下し酸素が増えて現在の人類が発生した。

①二酸化炭素を石油や石炭に変えて土壌中に地球が蓄えた。
②アマゾンの熱帯林とシベリアとカナダ北部のタイガ・亜寒帯林に二酸化炭素を蓄えた。
③海洋には地球の約3分の1に相当する二酸化炭素が蓄えられている。
④大気中の対流圏に二酸化炭素が蓄えている。

問題は、人類が①と②と③の資源を自分勝手に利用するので、土壌中の石油・石炭を燃やし、森林を伐採し二酸化炭素を大気中に排出し、さらに樹木が切り倒されるので、二酸化炭素の吸収力が低下した。永久凍土の温暖化ガスも大気中に放出された。沿岸の埋め立てが進み二酸化炭素とメタンガスを蓄積する機能を失った。また水温の上昇に伴い、海洋が吸収する二酸化炭素量が減少した。温暖が促進化されると、南極と北極の氷床と表面の氷河が溶け海面が上昇する。


消費の削減と節約、発電と産業の効率化へ

なすべきことは明確である。地球と自然からの搾取を限りなくやめることだ。一度壊した地球と自然を修復することである。すなわち経済優先に修正を加えることである。日本の重厚長大の産業は、大量にエネルギーと天然水を使用し、これを汚染したのち大気と海洋・河川に放出する。これらの大気と水質の汚染をやめるべきである。



ヘドロが堆積する葛西臨海公園 2023年8月撮影


地球環境と自然を守る方法は、消費の削減である。GDP主義の経済成長率をマイナスに転じることである。節約で消費を削減するとその分だけ資源と地球を守ることができるのは当然である。また、効率を上げるだけで、環境は良くなる。原子力、火力と水力発電の発電効率はそれぞれ、元のエネルギー発生量の30%、40%と50%(推定)しか利用していない。これらの発電効率を上げるだけで新たな発電所は必要がないし、無駄な熱を大気や海洋中に放出しなくて済む。そして、ダムの必要数を削減できるので魚類や生物多様性のために清流を回復できる。


GDP至上主義から転換 自然との共生の真の豊かさへ

私たちは豊かな自然を求めてきれいな海・リゾート地、川と山に行くためにお金をかける。しかし、身近に自然があれば普段の生活が豊かである。周りに自然が豊かな住居や環境を求めて暮らす若い世代が多くなっている。自然を守り、回復する。世界と日本がこれまで信じてきたGDPとお金優先をやめることは単純で明快である。自然を大切にして、自然から得られる豊かさをお金に換算するとすれば、多額である。



水質が悪く遊泳に適さないお台場海浜公園の遊泳禁止看板 2023年7月


自然と自然が作り出すものが真の豊かさである。日本人は江戸時代までは真に自然と共存してきた。明治維新の西洋に追いつけ・追い越せでその生活のスタイルと自然との付き合いを根本から壊してしまった。これを人間も自然の一部であり、自然を破壊しては、人間も日本人も生存しえないことを肝に銘じることではないか。そうすれば将来の環境が健康で暮らしやすく食べ物も真に美味しく、人生が明るく見える。

お台場海浜公園と葛西臨海公園は貧酸素と汚濁が進んでいるが、きれいな海に戻して海水浴をしたいものだ。日本人は、江戸時代の循環生活と自然との調和の生活サイクルを再度見直すべきではないか。日本が世界にリーダーシップを発揮するべきである。(了)


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