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日本人とは何か

第113回 ホワイトハウス訪問

一般社団法人生態系総合研究所
代表理事 小松正之
2023年5月21日

人生初のホワイトハウス訪問と会議

私たちはホワイトハウスを5月2日に訪問し、約2時間に及ぶ会合を持った。ホワイトハウスは日本人は1800年に完成した2階建ての白亜の大殿堂の建物を思い浮かべるが、この建物の周囲にたくさんのビルがあり、事務所が構えられている。

私は農林水産省の役人時代、国際捕鯨委員会(IWC)で13年間、事実上政府を代表し米国政府と厳しい交渉をしてきた。

橋本龍太郎元総理とビル・クリントン大統領が捕鯨をめぐって論争になった。この時ですら、国務省、商務省とNOAA(海洋大気庁)はよく行ったが、ホワイトハウスは訪問しなかった。

ホワイトハウスを訪問し、会議をするのは全く初めてであった。元環境大臣の山口壮先生が団長であったことが大きい。在ワシントンの日本大使館員も参加した。自然を活用した解決策(Nature-Based Solutions:NBS)のやりとりは冨田浩司駐米大使にも、外務省にも報告された。国土交通省、農林水産省と環境省にもその報告が行き届いた。



5月2日ホワイトハウスで 山口壮元環境大臣(立)とオランダー委員長(右列後方)写真;代表団提供


コンクリートから自然再生NBS事業へ 日本での導入促進

私たちがホワイトハウスを訪問したのは、自然再生の事業を日本にも取り入れることを米国に学ぶことが目的であった。米国は環境保護の先進国である。1971年に米国家環境政策法(NEPA)を成立させ、これが根拠法となり今回訪問を果たしたホワイトハウスの環境クオリティー委員会(CEQ)が1978年に設置された。この委員会が連邦政府の環境政策の中心機関である。

5月2日、米国訪問中の山口壯衆議院議員らと筆者ならびに日本の科学者3名他は、ホワイトハウス同委員会のリディア・オランダー委員長ほかと、自然を活用した解決策(Nature-Based Solutions:NBS)の日本での普及に向け、米政府の取組の説明を受け何をしたらよいのかの意見交換を行い参考にした。


米各省庁のNBS取組

米連邦政府機関のNBSに関する取組状況は、日本に比べ比較にならないほど進歩している。ホワイトハウスに集まった米政府の官僚・専門家はサラ・ワトリング連邦緊急事態管理庁(FEMA)分析官、ポール・フェリチェッリ同庁気候部長、ステファニー・サンテル環境保護庁(EPA)気候担当上級アドバイザー、アレクシス・ペロシ住宅都市開発省(HUD)気候担当上級アドバイザー、キム・ペン海洋大気庁(NOAA)沿岸管理官、ジュリー・ロザティ陸軍工兵司令部(USACE)技術部長だった。こちらではデニス・ウィガム、スミソミアン環境研究所(SERC)副所長にも同席していただいた。

オランダー委員長は、「NBSはバイデン現政権の2つの大統領令に関係していて、1つは、2030年までに国土と水域の30%を保全することを掲げた「アメリカ・ザ・ビューティフル」と呼ばれているものである。もう1つの大統領令では、NBSに関する報告書の作成を求めたので、2022年11月に、NBSに関するロードマップを策定した」と語った。


NBSで気候変動緩和の3分の1達成

米国内における気候変動の緩和の約3分の1をNBSによって達成することが可能であり、またNBSは気候変動のリスク軽減策として活用できるため、米国政府はNBSを気候変動対策と考え、現在、関係省庁会議を設け、NBSの取組を加速させている。

また、バイデン現政権は、インフラと気候変動対策に対して連邦政府が大規模な投資を行っていくことに焦点を当て、各省庁でインフラ整備にNBSを組み込む取組が行われている。NBSの費用便益分析、NBSの許認可プロセスの効率化、人材開発等の検討も進められている。

NBSは新しい取組かとの山口壮元環境大臣の質問に答えて、NBSのようなことは従来から取り組んできたものであり、現政権でさらに加速させる。小規模なプロジェクトから、大規模なものになりつつある。



ホワイトハウスCEQのリディア・オランダー委員長(真ん中)、環境保護庁(EPA)ステファニー・サンテル
気候担当上級アドバイザー、キム・ペン海洋大気庁(NOAA)気候調整官他と筆者(左2人目)


ホワイトハウス各省庁連携を日本でも

このような関係省庁を一堂に会して意見と情報の共有を図る場の設定は、省があって政府がないと揶揄される日本では決定的に不足する。また、官邸の専門的知識と経験値も不足する。コンクリート中心で自然環境の保護が必要な日本の国土にはNBSは待ったなしである。ホワイトハウスの各省庁を連携させる取組は非常に有意義であり、日本にも参考になるし、即座に実行するべきと考える。


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