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日本人とは何か

第106回 日本国憲法の改正を考える(その3)

一般社団法人生態系総合研究所
代表理事 小松正之
2022年10月24日

憲法の改正を全くしない国

欧米諸国は国家基本法である憲法を改正する。国家や世界を取り巻く環境と社会が変わり、国家の基本法である憲法を改正しなければ、その国家が世界の動きと環境の変化についていけずに国家が弱体化することを物語る。これは今の日本に当てはまる。「アベノミクス」も経済成長に必要な3本目の矢である法律制度改革をほぼ実行していない。その結果、この国は衰退の一途で平均賃金でも中国と韓国にも追い付かれた。

憲法は簡単には改正は出来ないよう厳しい改正要件が定められている。米憲法も改正には3分の2の連邦政府議員または州議会が賛成し、改正案を4分の3以上の州か憲法会議が批准しなければならない。フランスでも連邦議会両院合同委員会または国民投票での5分の3の賛成が必要とされる。ドイツでも連邦議会と連邦参議会の3分の2の賛成が必要である。それでも米国は27の憲法修正があり、ドイツは64回フランスが24回の修正がなされた(出典:初宿正典・辻村みよ子「新解説 世界憲法集 第5版」2018年12月)。

日本は憲法改正を全くしなかったことによって欧米諸国と韓国など隣国の憲法と比べると、世界情勢や国内の環境に適応しない国家となったと言えよう。


日本国憲法改正についての講演会

10月15日に大阪で講演をした。私の講演はこれまで捕鯨または水産業と国際交渉などだったが、今回は「日本国憲法の改正」について講演した。

日本国憲法前文の日本国憲法の背景と目的に関する部分も、戦後1945年とは時代背景も社会も全く異なる。「諸国民の公正と信義を信頼してわれらの安全と生存を保持しようと決意した。」をそのまま抱えて良いはずがない。また、地球温暖化と気候変動が顕在化した。それらを反映した憲法に改正できないとなれば、国民、政治家も科学者並びに産業界もこの国の「将来展望が貧しい」。この憲法を将来の世代に引き継ぐことを恥じ入るものである。


もっと憲法改正を知りたい

講演会では、暑苦しい夏、洪水と災害の頻発と公共事業での巨大堤防建設と湿地帯・藻場や干潟の自然環境の破壊、漁業資源の減少がどれだけ私たちが生活する環境と食料の生産に悪影響を及ぼしているかを説明した。日本は、明治から61%の湿地帯を失った(環境省資料)。劣化する日本の環境は人間の健康に悪影響を与える(WHOとFAOとUNEPなど)。その改善のために「環境保護と改善」が最重要課題であるとして、私の日本国憲法の改正案を提起した。

憲法の前文に「環境保護と改善の重要性を訴えることは現在の日本人の責任である。」と改正するべきとした。



「世界の憲法集」(畑博行ほか、有信堂)から著者が大阪講演会用に作成した資料


質問がすべて私の役人時代の国際交渉経験と海洋と漁業と土木に関するものであった。これは其れとして重要である。

講演の終了後に70歳頃の女性2人が私のところにやってきて、憲法改正論についてももっと聞きたかったという。どの部分を聞きたいのかと私から尋ねても返事がなかった。なぜ講演中にもっと憲法改正について講演を聞きたいとの発言をしなかったかと聞くと、彼女らは「大阪は男尊女卑で女性が質問をすると、後で批判の対象となる」との事。不可解である。


憲法への明記;環境保護と改善が将来重要

憲法第3章の「基本的人権」に「環境保護の政策を公的機関は実施しなければならない」と明記することが大切である。そうすれば、政府各省庁がこれに従った政策と実行が義務となる。現在は各省庁が包括的かつ協力して、環境を保護し改善する法律がないため、各省庁の経済活動・防災における環境への配慮が不足し、その結果、環境破壊の公共事業が行われている。

火力・原子力発電の温排水、コンクリート工事に際して環境保護政策への配慮を義務付ける。地方自治体においても、生活・工場排水基準や土地埋め立てと風力・太陽光発電などと環境との調和・保護を推進することが大切である。

9月27日に訪問したスウェーデンのバレンツナ市では、スウェーデン憲法と環境章典を根拠に市がコンクリート堤防を必要としない包括的な環境・防災対策を採用していた。先進国では、憲法を根拠に、もはや環境保護と自然優先は当たり前のこととして、推進されている。(了)



Vallutuna市長のParisa Liljestrand氏(右)とAnnika Hellberg, City Manager(2022年9月27日)
同市長は最近スウェーデン連邦政府の文化大臣に任命された


[参考文献]
モーリス・デュベルジュ、時本義昭訳「フランス憲法史」(みすず書房)2015年5月
畑博行・小森田秋夫「世界の憲法集」(有信堂)2018年12月
交告尚史「スウェーデン行政法の研究」(有斐閣)2020年10月
樋口範雄「アメリカ憲法第2版」(弘文堂)2021年6月
小山剛・石塚壮太郎監訳「ドイツ憲法の道程」(慶応義塾大学出版会)2022年2月
初宿正典・辻村みよ子「新解説 世界憲法集 第5版」(三省堂)2022年6月
小松正之「2022年9月27日スウェーデンのParisa Liljestrand Vallentuna市長他訪問の報告書(一般社団法人生態系総合研究所)2022年10月
小松正之「良好な環境促進と日本国憲法の改正」(一般社団法人生態系総合研究所)2022年10月(大阪国民協会講演資料)


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